ウスデーク(資料)
饒辺の臼太鼓は、旧7月7日(七夕)から練習が始まり、旧7月15日に行なわれる。
15日は、1公民館、2野呂殿地の2筒所と臼太鼓の訪問を希望する家(4〜5箇所)が
あれば出向く。臼太鼓歌は、下の11曲である。
臼太鼓には、老人会、婦人会の希望者約30〜40人(踊り約20〜30人、太鼓10人)
が参加する。紺地の着物に紫色の帯をしめ、頭には桃色の鉢巻きをし、足袋に草履の
姿で踊る。踊りには、扇、四つ竹が用いられる。
1・散山の胡弓小
2・くばぬ葉
3・干瀬に居る鳥節
4・城玉しだい
5・あさぎんじ童
6・久高ヨレフニ
7・ヤーカヌミー
8・石ん根節
9・かでぃくうみなび
10・饒辺んから
11・首里天じゃなし
1≪散山の胡弓小≫
1.散山ぬ 胡弓小 西ん酉 胡弓小 真南だかに 行きわ戻る 胡弓小 サユサユヨーンナ
(散山の胡弓は 酉の方角から真南に行って戻ってきた)
2.染みてぃ染めみだらぬ 浅地染 吾ねんぱろ烏 若羽ぬ如し染みり サユサユヨーンナ
(染めても染められない浅地を 鳥の若羽のように染めなさい)
3.高山ぬ烏 ちくくなて烏 吾女驚かち 大目腫らち サユサユヨーンナ
(高山の烏は ふくろうになって私の彼女を驚かした 彼女は目をひんむいて驚いた)
4.ひぢちざらみかち 織ゆる布でんし ぼざに引かさりてぃ 下りてぃ抱ちょさ
(布織りをしていたが 赤子に気をとられて 中断して抱き上げた)
5.はさみざらみかち 断しる布でんし 肝に思染ぃ 断ちまみぢ
(はさみを使って布の裁断をしていたが 彼氏のことを思いだして 断ち間違えた)
2 《くばぬ葉》
1.くばぬやしが むてぃなしぬ豊さ 暑さしらまする 玉ぬ団扇
(くばでできているものだが もてなしは豊かである 著さも涼しくさせる玉の団扇のようである)
2.明障子 突ち開きてぃ見りば 庭ぬ白菊ぬ 咲つい美さ
(明かり障子を突き開けて眺めると 庭の白菊の咲いている美しさよ)
3.竹ぬ葉ぬ露や 上がい太陽待ちゅい 我身や誰待つちゅが 里ど待ちゅる
(竹の菓の露は 太陽の上がるのを待っている 私は誰を待つか 彼氏を待っているのです)
3 《干瀬に居る鳥節》
1.干瀬に居る鳥や ヨ 満潮恨みゆい 吾んや暁ぬ 鳥ど恨ゆる
(干瀬に居る鳥は 満ち潮を恨むように 私は暁の 鳥を恨む)
2.千瀬押しる波ぬ ヨ 浜打たなうちゅみ 吾門に立すらが ヨ 入らあむるうんな
(干瀬に押し寄せる波が 浜に打たないでいるか 私の家の前まできて 入らないでいるか)
3.あざとうばる下りてい 花むゆる童 うむしるさやしが 年やしらんくと
(あざとうばるを下りて 花摘みをしている子供がいる 姿は素敵だが
年はいくつぐらいだろうか)
4.ないき引ちゅして ヨ ないむならうんみ 我里引くちゅして 抱かなむるゆんな
(ないき(未詳)を引き寄せて 何もないでいるか 彼氏を引き寄せて 抱かないでもどることが
あるか(そんなことはない)
4 《城玉しだい》
1.城玉しだい 白雲に掛かてぃ 内にめる思蔵や 御月めなち
(首里城の玉すだれは 白雲に掛かって 内にいる王女様を お月様にみなして)
2.七読と二十 綛掛きぃ置ちぇん 里が蜻蛉羽しらに 御衣しらに
(十七読みや二十読みの細かい綛を掛けて準備し 彼氏の着物を蜻蛉の羽のように
薄く織り上げよう)
3.蜻蛉羽御衣や ぬりらわんゆたさ 里が片んちょび ぬらすしんさ
(蜻蛉の羽のような薄い上質の着物は 濡らしてはもったいない 彼氏の片頭は
濡らしてはもったいない)
5 ≪あさぎ出童≫
1.アサギ出童 櫛箱取て来う ありにある手拭 やみに呉いゆん
(アサギに行って童 櫛箱を取って来い あれにある手拭いを お前にあげよう)
2.手拭呉いゆる里 島々にいめん お肝呉いる里 一人んもらん
(手拭いを呉れる人は 島々にいらっしゃる 真心を呉れる人は一人もいない)
3.浜ぬ前ぬ 潮ぬ干瀬越し見ちゃみ 遊び時期 ヨ やてる にしくい ヨ 千瀬越い
(浜の(浜比嘉島の浜集落)前の浜に潮が干瀬を絶えているのを見たか 遊び時期
だから越えてきたよ)
6 ≪久高ヨー舟≫
1.久高早舟や 乗らんしがふるび 渡中打出しや 蝶前なち
(久高の早舟は 乗らなければ古びていく 渡中に出せば 蝶が先導をしてくれる)
2.舟乗らば里め スリ 舟底に乗るな 舟ぬ高るむに ぬやい招き
(舟に乗る時はあなた 舟底に乗りなさるな 舟のデッキに乗って 招いてください)
3.伊集ぬ木ぬ花や あん美らさ咲 我身ん伊集やとて スリ 真白咲かな
(伊集の木の花は あんなに美しく咲いている 私も伊集の花のように 真自に咲きたい)
7 《ヤーカヌミー》
1.ヤーカヌミぬモーサー いちやびけ−ぬ者が 具志頭うじえ番に うとぅいむちさりて
ヨースリ
(ヤーカヌミ(地名)ぬモーサー(女名)はどんな人であったか
具志頭うじぇ番におもてなしされて)
2.三三合ぬ御酒 仲人ぬ御酒 うり飲むる 夜や 取やぎちやぎ
(二三合のお酒 仲人の御酒 これを飲む夜は 取り合いつかみ合いである)
3石垣ぬ真上 糸瓜花咲かち うりがないならわ 吾里まかね
(石垣の真上に 糸瓜の花を咲かせて それの実がなったら 彼氏に差し上げよう)
8 《石嶺節》
1・石嶺ぬ道から 寺ぬ傍ウネ まりん ヤラスナイサ ウネ ウナシサンサ、チウナシタ
(石ん根の道から 寺の側まで)
2.語りしや 酌取て語りしぃやウネ 首抱や ヤラスナイサ ウネ ウテシサンサ チウナシタ
(語っては 酌を取って 語って私の首を抱いて)
3.うぬすびや 先から 美童やちさウネ 傍から ヤラスナイサ ウネ ウナシサンサ
チウナシタ
(主部衆は先に 娘は傍から)
9 《かでいくうみなび》
1.かでぃくうみなびが 言付きぬ煙草 またん言付きぬ 結び煙草
(義手久ウミナベが 送った煙草 二度目に送ったことで 縁結びの煙草になった)
2.七葉ある煙草 頭結込みてい 里とう畑隣 行逢わでむぬ
(七葉ある上質の煙草を髪の毛の様に細かく刻み 畑が隣のあの人に会ったとき
さしあげたい)
3.夜中める里や 肌地味てい抱くな あやくぶし前なち うりが上から
(夜中からくる彼氏よ 裸で抱くな 腹巻きを前に掛けて それで抱きなさい)
10≪饒辺から≫
1.饒辺からでむぬ 歌ぬくまり詠み 弾ちみそり里め 我歌すしら
(饒辺からきた歌を詠みましょう あなたは三線を弾いてください 私が歌いますから)
2.花当たい里が 花持たすやりば 花やうちみそち うんじゅいもり イモリ スリ ヒヤールガ
(花の当番の彼が 花を持たせるが 花を置いて あなたが来て下さい)
11≪首里天じゃなし≫
1.首里天じゃなし 百とまでちゃわり うまんちゅぬ間切り 拝がりしりら
(首里の王様 百年までも在職なさっていて下さい)
2.拝り拝まらぬ 首里天じゃなし 遊りうちゃがゆる 御茶屋御殿
(拝んでも拝みきれない 首里の王様 遊んで浮き上がる 御茶屋御殿)
3.円覚寺 御門ぬ鬼仏がなし 吾無蔵ゆくすしや うどちたぼり
(円覚寺の御門の 鬼仏様 私の彼女を誘惑する者は 脅してください)
4.綾門から下りて 寺ぬ傍までん いびがまぬ前から 別るしんさ なひんいびがまや遠やあらに
(綾門から下りて 寺の傍まで いびがま(地名)の前から 別れるのが辛い いびがま(地名)が
遠ければいいのに)
5.嵩枕敷きて ゆす嵐ぬ入らば アンセーヒーサヌヨー 枕押蒜退きて 我腕枕
(高い枕を敷くと 隙風が入ってきて寒いので 枕を押し退けて 私の腕枕で休もう)
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